自己紹介

Self Photo私は現在、理研環境資源科学研究センター(CSRS)の研究員として活動しています。研究テーマは、触媒反応の特性を予測するための理論構築です。

私たちの回りにはたくさんの化学反応が起きています。そして、多くの反応は細かく見れば、何段階かに分かれて起きます。例えば、私が専門とする触媒反応は、まず反応基質が触媒と結合します。それから基質が生成物になり、生成物が触媒から脱離します。もちろん、もっと複雑な反応機構もありますが、くっついて離れる、というだけで反応は2段階になります。そして、現時点ではこのような多段階の反応の性質を正確に予測することは困難です。例えば、どれくらい反応が早く進むか?や、どれくらい長く反応が続くか?ということを知ろうとしても、それを正確に予測する方法はありません。このため、私は多段階の化学反応の性質を予測する理論を構築しようとしています。予測精度が高い理論ができれば、良い触媒を探すことはもちろん、複数の化学反応から成るプロセス、例えば大気中のCO2の蓄積や生体代謝を理解することにも挑戦したいと思っています。どれも、見た目は全然違いますが、その数理的な振る舞いにはある程度の共通性があります。理論というのは概して抽象的なものですが、だからこそ色んなことを説明できるという強みがあります。

理論開拓をする上で必要となる道具の多くは、これまで主に独学で勉強してきました。もともと学位は実験(分光)で取得した後、博士研究員の時に数値シミュレーションや機械学習、バイオインフォに必要なPythonを勉強しました。また、化学反応ネットワーク理論、力学系解析やカオス理論、複雑系理論など、応用数理についても学んできました。学ぶことは新たな眼鏡を手に入れることです。そして、新たな視点から、新たな問いを立てることができます。知的好奇心のまま、その答えを求め続けられることが、科学者であることの喜びの一つだと感じています。

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